逸脱せよ!


by amnesiac7
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30

マシーン・ヘッド

インストールされているソフト、とそのロジック。
画一化が導く非個性化とマシーン化。
容姿、ファッション、反射的応答(反応)、見つめ方、しゃべり方、ケツのふり方。
思考によって埋められるはずの、遊びとしての余白が、プラスティックのケースで満杯だ。
自己を極力消し去ることを自由とする人間たちは、いったい何をそこまで守ろうとしているのか?
同化、気化による不安の共有は、昇華にまで辿りつくのか?
透明のケースで遮られた視界。世界は、ゆっくりとボヤけていく。
麻痺、麻酔。酸素なき、狭き霧にまぎれて、回転を止めようか。

人格を改変するのは、さほどむずかしい話ではない。
脳内物質を分泌するシステムの中枢を、ほんのわずか調整すれば、人間は劇的に変貌しうる。
毎日、虚無感に苛まれていたアイツが、いつも元気だったあのコが、舞い上がり、首を吊る。
喜び、悲しみの蛇口は、些細なことで開閉する。
景色が変わる。五感なんてアテにならない。
絶望の隣りには、歓喜の花が咲いていたり。

「いつ始まって、いつ終わったの?」
彼女の問いは、問題の全てを語っていた。
何を、どこで、どれくらい、知覚するか。
精神こそが優位にあった社会は去り、肉体が至上とされる時代が訪れたとでも言うのか?
いや、もちろんこれは言い過ぎだ。
彼女の指摘どおり、たしかにオレはまだ何も始めてはいないし、終わらせてもいない。
だが、それは言葉の、字面の上での話であって、根本の性質乖離には天地の開きがある。
訴えの形をとらない訴状は、当然のように見過ごされ、黙殺される。
それぞれの礼法によって、好悪に則って。
確かな形を残すには、肉体に刻み込んでやるほかないのか?

景色のなかで何かがはじけた。
スイッチを切り替えたのは何だったのか?
些細なことでは変わらない、揺れない、強い脳を。
変わらない、揺れない。変わる、揺れて、何が悪い?
疲れたく、憑かれたくないだけで、普遍をという名の怠惰を求める。
脳が壊れる。壊れて何が悪い?

現在のロボット型社会には、いったいどれくらいの人間が生き残っているのか?
そもそも彼らは、ほんとうにロボットになってしまったのだろうか?
オレの知らない、オレだけが読み取れないコードで、みんなは人間としてのコミュニケートをしっかりと行なっているのではあるまいか?
オレの世界での木偶人形も、人間社会ではトップ・スター。
そのソフトは、どこに行けば、上手くインストールすることができますか?
痛まないことには、どんな意味があるのでしょうか?
記号を漁り、記号を手に入れて、記号で埋め尽くされて、記号になって、記号として読み取られ、記号を人間と呼び、オレが知っている、つもりでいた人間たちが消え去って、人間社会は続いていく。

「空虚でなにが悪いの?」 何も悪くないよ、たぶん。
[PR]
by AMNESIac7 | 2009-06-09 22:45 | 断片小説