逸脱せよ!


by amnesiac7
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カテゴリ:断片小説( 28 )

迷い家

唐突の濃霧。さきほどまでの心地よさが嘘のように。
視界はわずか数十センチ。一歩進むのにも、神経をすり減らすほどだ。
山の天気は変わりやすいというが、これではあまりにも酷過ぎる。
進むか、とどまるか。いや、どこに向かって進むつもりだ?
途方にくれ、安全性を確保するのに数分も要して、近くにあった木の根元に腰を下ろす。
ここで霧が晴れるのを待つ。一向に薄くなる気配もなく、さらにその色合いは濃くなっていく。
すると右手の方に、いつから灯っていたのか、なにやら明かりのようなものが目に入る。
霧がたちこめ、視野は劣悪ではあるが、まだ昼下がり。強烈とも思えない薄い光が、なぜ見えるのだろうか?
行くか、とどまるか。霧はすでに精神のなかにまで流れ込んできている。行くしかあるまい。
慎重に、崖などに足をとられぬよう、細心の注意をもって歩を進めるうち、私はひとつの確信を持つ。
むくむくと心に立ちこめる根拠のない確信     あれはマヨイガである、と。
あそこまで、いったいどれくらいの距離と時間がかかるだろうか?

黒き門の前にかかる表札には[三浦]とある。これはもう間違いあるまい。
柳田の遠野物語や東北の伝承に出てくる、マヨイガに迷い込んで長者となった小国の三浦某の家。
私はひとも呼ばずに玄関を開け、どかどかと土足で屋内に入りこむ(急がねばなるまい)。
さあ、何を持ち帰ってやろうか?
私はほどなく家人に捕らわれ、警察に突き出された。

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(^^;)元ネタ知らんとわけ分からんかな?
そもそも三浦の家は、マヨイガじゃないしね(笑)
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by AMNESIac7 | 2009-09-11 08:51 | 断片小説

空白

「ぼくには どうして おとうさんがいないの?」
ふいに、しかし、なぜか予感のあったセリフ。どこか懐かしい瞳を持った少年の。
ゆるい光が漏れ落ちる木蔭。のベンチ。読書。
視線。屈託のない、だが、どこかさびしげな笑顔。4・5歳。
となりに這いあがり、ちょこんと腰をおろし、おしゃべり。
打ち解けるのに、さほど時間もかからず。端から打ち解けて。
空の話。風の話。光の話。おとなしい媚び。
「そうだなぁ、お母さんは何ていってるの?」
一瞬の間。
「おにいちゃんが おとうさんだったらよかったのに だって」

病室。そっくりな瞳。ぼくに。僕に。
ベットに横たわるのは、6年前、実家を飛び出し、消息不明だった僕の妹。
「ひさしぶりね、お兄ちゃん」
空白を埋める様々な想像。意味を成さない憤り。あふれ出す感情。
「悪いんだけどさぁ・・・ここの入院費、立て替えてくれない?」

駆け落ちした相手の男とは、とっくにお別れ。今回は"ただの盲腸"だそうで。
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by AMNESIac7 | 2009-09-10 18:50 | 断片小説

ミス?

行き交うテレパシー。ほど良いミスリード    全て。
室内に充満する愛。性欲に偽りはない。
薄暗い照明。のおかげで、われわれの理性は眠る。共犯。
競争が始まった。多少のミスマッチは、この際、無視だ。飛びつけ。
ん、何かがおかしい? 何がおかしい? そこにあってはならぬ手応えあり。
「てめぇ、このヤロウ!」 
部屋の隅から飛ぶ罵声。よく知る男の、野太い。
おそらくディテールの差だ。オレのは    ざんねんながら高精度だ(?)
どうせ眠りの、夢の中。あとは野となれ、なんとでも(??)

ミスター。
ジェントルマンズ・ブルース。
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by AMNESIac7 | 2009-09-10 18:39 | 断片小説

とべ、どこまでもとべ!

「戸部、どこまでも戸部!」
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by AMNESIac7 | 2009-09-10 18:31 | 断片小説

マシーン・ヘッド

インストールされているソフト、とそのロジック。
画一化が導く非個性化とマシーン化。
容姿、ファッション、反射的応答(反応)、見つめ方、しゃべり方、ケツのふり方。
思考によって埋められるはずの、遊びとしての余白が、プラスティックのケースで満杯だ。
自己を極力消し去ることを自由とする人間たちは、いったい何をそこまで守ろうとしているのか?
同化、気化による不安の共有は、昇華にまで辿りつくのか?
透明のケースで遮られた視界。世界は、ゆっくりとボヤけていく。
麻痺、麻酔。酸素なき、狭き霧にまぎれて、回転を止めようか。

人格を改変するのは、さほどむずかしい話ではない。
脳内物質を分泌するシステムの中枢を、ほんのわずか調整すれば、人間は劇的に変貌しうる。
毎日、虚無感に苛まれていたアイツが、いつも元気だったあのコが、舞い上がり、首を吊る。
喜び、悲しみの蛇口は、些細なことで開閉する。
景色が変わる。五感なんてアテにならない。
絶望の隣りには、歓喜の花が咲いていたり。

「いつ始まって、いつ終わったの?」
彼女の問いは、問題の全てを語っていた。
何を、どこで、どれくらい、知覚するか。
精神こそが優位にあった社会は去り、肉体が至上とされる時代が訪れたとでも言うのか?
いや、もちろんこれは言い過ぎだ。
彼女の指摘どおり、たしかにオレはまだ何も始めてはいないし、終わらせてもいない。
だが、それは言葉の、字面の上での話であって、根本の性質乖離には天地の開きがある。
訴えの形をとらない訴状は、当然のように見過ごされ、黙殺される。
それぞれの礼法によって、好悪に則って。
確かな形を残すには、肉体に刻み込んでやるほかないのか?

景色のなかで何かがはじけた。
スイッチを切り替えたのは何だったのか?
些細なことでは変わらない、揺れない、強い脳を。
変わらない、揺れない。変わる、揺れて、何が悪い?
疲れたく、憑かれたくないだけで、普遍をという名の怠惰を求める。
脳が壊れる。壊れて何が悪い?

現在のロボット型社会には、いったいどれくらいの人間が生き残っているのか?
そもそも彼らは、ほんとうにロボットになってしまったのだろうか?
オレの知らない、オレだけが読み取れないコードで、みんなは人間としてのコミュニケートをしっかりと行なっているのではあるまいか?
オレの世界での木偶人形も、人間社会ではトップ・スター。
そのソフトは、どこに行けば、上手くインストールすることができますか?
痛まないことには、どんな意味があるのでしょうか?
記号を漁り、記号を手に入れて、記号で埋め尽くされて、記号になって、記号として読み取られ、記号を人間と呼び、オレが知っている、つもりでいた人間たちが消え去って、人間社会は続いていく。

「空虚でなにが悪いの?」 何も悪くないよ、たぶん。
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by AMNESIac7 | 2009-06-09 22:45 | 断片小説

のらいぬ

吾輩はノラ犬である。名前は未だない。
野良と呼べるほど、野を思うままにしてきたわけでもなければ、勝手きままに暮らせてきたわけでもない。
とりわけ近年の管理社会強化の風潮とやらには、嫌気がさしている。
吾々は、常に所属を問われ、自らだけで由(よし)とすることを許されず、監視の目にさらされている。
さしあたって、ノラ犬たる吾々がいつも問われるのは"首輪"の有無である。
人間に飼われているのか、いまいかの目安となる、この記号の有る無しは、生存にも直接関わってくる重要な案件である。
若き日の私は、これ無きがために生命の危機に直面した経験が幾度となくあり、実際に囚われ、人間に殺された(という)仲間たちも多数いた。
齢十五を超える私が、未だその生命を保てているのは、10数年前に出遭った或る男のおかげである。

男は人間であり、その生命体としての年齢でいうところの50歳を超えたあたりの者であったと思う。
男と私はとある深夜の公園のベンチで出逢い、男の愚痴などを聞き、一夜をともにした。
翌朝、眠りからも酩酊からも醒めた男は、一晩を公園のベンチで過ごし、どうやら横で様子を伺う私に何やら絡んでいたらしいことに気づき、てれくさ気に私の頭を撫で、急に何かを思いついたらしく、もつれながらも、駆け足気味で公園から出ていき、しばらく帰ってこなかった。
私は、突然去っていった男に多少の困惑を覚えながらも、水道付近で落ちて溜まった水を舐め、これからのことを考えた。
次に男の姿を見たのは、大きな黄色のヴィニル袋を手にし、満面の笑みを浮かべ、私のもとへと駆け寄ってときで、私も思わず、反射的に声を上げていた。
男は、一晩の御礼だ、と言い、私に赤い、頑丈そうな首輪をかけた。
私は、この男に飼われるのかと、かすかな甘い期待を抱いたが、男は、これでもう大丈夫だろう、と私から離れていった。が、すぐに戻ってきて、私の首輪から何かを取り出し、それを弄りまわした後、再び私のつける首輪に戻し、頭をポンポンと二度ほど叩き、去っていった。
そのときの私は、ただただ悄然とし、途方に暮れる思いであったが、後々になり、仲間たちが捕まるたびに、男のしてくれたこと、首輪の授与に感謝したものである。

あれから長い歳月が経ち、私は老犬と呼ばれる歳になり、赤い首輪も同じく老いくたびれ、半分ちぎれかかってきている。
最早、人間に飼われている(かもしれない)という設定にも支障をきたすほど、吾々は時間の風にさらされ過ぎてしまっていた。
現在、私の眼前に立つふたり組は、幾度となく、私のひと時の仲間たちを刹那的に葬り去ってきた団体に"所属"する者たちであるらしい。

「う~ん、さすがにこれで飼い犬ってことはないだろ?」
「でも一応、首輪はしているわけだから確かめないわけには・・・」
「う~ん、コイツ噛まないだろうな?」
「野良だったら噛むんじゃないですか?」
「じゃぁ、オマエが調べろよ」
「イヤですよ!」
毛並みも悪く、ヨボヨボな老犬を相手に、保健所の人間らしい二人組が、押し合いへしあい。
結局、先輩らしき男の方が、意を決して老犬の首輪に触れるも、老犬は、うな垂れるようになんら抵抗することなく、男に首輪を奪われた。
「どれどれ・・・コイツはどこのどなたの犬だというのだ?」
「読めますか?紙、かなり古くなってるんじゃないですか?」
男たちは、首輪の中に差し込まれている、飼い主たちがその住所などを記すメモ紙を見つけ、老犬もそれに反応し、その紙片をフルフルとだが、静かに眺めている。
「ははは、コイツは良いや」
「ん、なにか変わったことでも?」
「おい、これ見てみろよ」
「なになに・・・なまえ:風天たろう 住所:この世のすべて、或いは最後の楽園・・・」
「完全に野良くんですな、こりゃ」
「連れて帰るんですか、コイツ?」
「しょうがないだろ、近隣住人とやらから苦情が出てるんだから」
「連れて帰っても薬殺しか"道"がないんじゃないですか?」
「それまた、しようがない話だよ」
「・・・じゃあ、うちで飼いますよ」
「またかよ、オマエ!」

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いったい、オレは何を書いているんだ?(笑)
最近、ノラ犬とやらを全く見なくなったなぁ、と思い、こんな話をつらつらと・・・
というか、すっかり忘れていた"断片小説"のコーナーの存在
「最近、ぜんぜん書いていないね」とひとに言われて、初めて思い出した^^;
まぁ、どうせ、思いつきで、話の筋もほとんど決めずに、流れるままに垂れ流すコーナーなんで、
また思いたったら・・・ですな
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by AMNESIac7 | 2009-05-08 16:00 | 断片小説

格子なき牢獄

裏の家の爺さんが83歳で亡くなった。心不全だった。
55歳で妻が蒸発。以降、息子たちから幾度となく、「一緒に住もう」と誘いを受けるも、こばみ続け、
ひとり裏の家屋に住み続けた。
家を空けることは、よほどのことがないかぎりなく、常に家に籠もりきりだった(買出しは隣家の住人に頼んでいた)が、寝たきりでもなかったし、異常なほど毎日屋内を清掃する潔癖な人物だったようだ。

葬儀はしめやかに執り行われ、遺族たちにより、この家の今後についても話し合いが持たれた。
爺さんの手により、極めて清潔に保たれた家屋ではあったが、そこはやはり築半世紀以上。すんなり取り壊しが決定した。

解体日、辺りは騒然となった。
取り壊し始めた家屋の、爺さんの寝室だった場所の北壁から、人型の白骨が出てきたのである。
鑑定の結果、28年前に失踪したとされる彼の妻のそれであることが判明した。

彼は、この骨が見つかることを恐れ、この家から離れることができなかったのだろうか?
数年前に記されたと思われる遺書にも、この件を匂わせる記述は一切ない。


断片小説第何弾かな?
たしかこれに似た事件、実際にあったよね。爺さんの話ではなかったと思うけど。
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by AMNESIac7 | 2009-01-08 20:19 | 断片小説

信用を得る方法

彼は、誰彼かまわず、借金を頼むにも関わらず、彼に付き合った誰からも信用を勝ち取っていった。
これはいったい、どうしたことか?
答えはこうだ     .
彼は、刻限以内に返ってこないと、相手が少々マズくなる程度の借金を頼んだ。
そして、約束の期日よりもかならず早く、取り決めよりも多少のイロをつけた利息とともに返済した。
たったこれだけのことである。
彼は言った「利息分を、ふつうに贈り物にするよりも、この方がずっと効果がデカいんだ」と。


これは詐欺師にも、よく使われる手法だが、彼は1回だけにすることによって、多大な信頼を勝ち得ていったのである(=相手が負担にならない程度に喜ばし、かつ、相手側から恩を着せさせるように仕向けることにより、逆に相手からの愛着を得るという手法)という話。
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by AMNESIac7 | 2008-12-20 21:24 | 断片小説

神の名は

Mは15歳で夭折した。
「彼は神々に愛されすぎたから早く逝ってしまったのだろう」
「・・・で、彼はどの神に愛されていたんだ?」
「そうだな、彼の端整な容姿、身に宿る優美から鑑みれば     
「彼が信奉していた神の名をキミは知らないのか」
「え、何だ?キミは知っているのかね、彼の神の名を」
「×××××××」
「何だって!? 邪教の神ではないか!! 彼は異端者だったというのか?!!」
この男の内に神は宿らず。

関連パンセ
・宗教は、どれれも神に変える踏み石にすぎない(パウニー)
・異教徒の徳は、輝かしい罪悪である(アウグスティヌス『神の国』)
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by AMNESIac7 | 2008-12-20 21:14 | 断片小説

時計塔の守人たち

世界の時間を司る時計塔
各時間を担当する守人たちのさまざまな思い

※現段階では着想だけ
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by AMNESIac7 | 2008-12-19 21:44 | 断片小説