空白
2009年 09月 10日
「ぼくには どうして おとうさんがいないの?」
ふいに、しかし、なぜか予感のあったセリフ。どこか懐かしい瞳を持った少年の。
ゆるい光が漏れ落ちる木蔭。のベンチ。読書。
視線。屈託のない、だが、どこかさびしげな笑顔。4・5歳。
となりに這いあがり、ちょこんと腰をおろし、おしゃべり。
打ち解けるのに、さほど時間もかからず。端から打ち解けて。
空の話。風の話。光の話。おとなしい媚び。
「そうだなぁ、お母さんは何ていってるの?」
一瞬の間。
「おにいちゃんが おとうさんだったらよかったのに だって」
病室。そっくりな瞳。ぼくに。僕に。
ベットに横たわるのは、6年前、実家を飛び出し、消息不明だった僕の妹。
「ひさしぶりね、お兄ちゃん」
空白を埋める様々な想像。意味を成さない憤り。あふれ出す感情。
「悪いんだけどさぁ・・・ここの入院費、立て替えてくれない?」
駆け落ちした相手の男とは、とっくにお別れ。今回は"ただの盲腸"だそうで。
ふいに、しかし、なぜか予感のあったセリフ。どこか懐かしい瞳を持った少年の。
ゆるい光が漏れ落ちる木蔭。のベンチ。読書。
視線。屈託のない、だが、どこかさびしげな笑顔。4・5歳。
となりに這いあがり、ちょこんと腰をおろし、おしゃべり。
打ち解けるのに、さほど時間もかからず。端から打ち解けて。
空の話。風の話。光の話。おとなしい媚び。
「そうだなぁ、お母さんは何ていってるの?」
一瞬の間。
「おにいちゃんが おとうさんだったらよかったのに だって」
病室。そっくりな瞳。ぼくに。僕に。
ベットに横たわるのは、6年前、実家を飛び出し、消息不明だった僕の妹。
「ひさしぶりね、お兄ちゃん」
空白を埋める様々な想像。意味を成さない憤り。あふれ出す感情。
「悪いんだけどさぁ・・・ここの入院費、立て替えてくれない?」
駆け落ちした相手の男とは、とっくにお別れ。今回は"ただの盲腸"だそうで。
by AMNESIac7
| 2009-09-10 18:50
| 断片小説