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逸脱せよ!


by amnesiac7
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耳を腐らせるMP3文化

昨晩聴いたレディオヘッドの『イン・レインボウズ』とビョークの『ヴォルタ』のCD盤に、わが耳を疑った
すでにどちらともMP3データを(MP3からWAV化する際、仮想で切られた音質を補正するソフトも使って)CDに焼いて、聴きまくっていたアルバムだが、本元を聴いて唖然・・・

RADIOHEADのアルバム『IN RAINBOWS』のネット配信版の音質は160kbps(=MP3)
対するCDで採用されているWAVの値は1400kbps(正確には1411.2kbps)である
単純に比較しても8~9分の1と、その差は歴然
にもかかわらず、MP3形式が世間一般に受け入れられたのは、人間の可聴域のせいである
MP3の発想は「人間の聴こえる範囲」以外の、音の上下をカッティングすることによって、データを軽くするというもので、実際これによって大幅なデータ量の削減と質の維持を両立させている
事実、ふつうのアーティストの音楽を聴いても、顕著な差異を感じるひとは少なく、MP3携帯端末などで音楽を聴くスタイルがベーシックにもなりつつある
だが、ホンモノの音楽に対しても、はたしてこの理論は通用するのだろうか?

ボクは度肝を抜かれた
とくにBjorkの『Volta』は、ボクの知っていた(つもりでいた)ものと、まるで別物のアルバムだった
聴きとれなくても、感じとれる「触感」
細かい音、音がぶつかりあったときのそれが、完全に別の生き物となっていた
脳を直撃し、揺らされ、思わずニヤニヤ
今まで、すこし刺激が強すぎると感じていたパートも驚くほどスムーズに入ってくる
これは『IN RAINBOWS』でも同じで、特に少々出だしを気持ちわるく感じていた『NUDE』もギリギリの美しさで推移し、ようやく納得のいく質で聴くことが出来たという感想

結論をいうと、MP3化に堪えうる音楽を作っている連中にとっては、坂本龍一が指摘するように「ネットの普及で音楽の経済的な価値は限りなくゼロに近づいてしまった」のだろうが、ホンモノの音楽を提示している者たちにとっては、逆に決定的な差異を見せ付ける状況を招いたともいえる
(さらなる光速通信化、容量のデカいデータをナマで交換する時代になれば、この現状も崩れるが・・・)


追記:CDがまったく売れなくなったという昨今ですが、着うたなどのネット配信スタイルの普及により、音楽業界自体は勢いを取り戻してきているといいます
しかし、MP3形式による音楽配信スタイルは、音楽(&リスナー)そのものに対する冒涜でもあることをちゃんとレコード会社の連中は認識しているのだろうか?
低音質で育った世代が作りだす、低感性な音楽
想像力であいだを補うとしても、創造力自体も枯渇してきている現代
せめて触れる音質だけでも良いものを提供していかねば・・・ね
by AMNESIac7 | 2009-01-07 12:51 | まったりムジク(音楽)