天獄
2008年 12月 18日
彼は生前"常に正しく"暮らしてきた。
よって、彼は念願でもあった天国に辿りついた。
しかし、そこには誰ひとり人間はおらず、彼ひとりが存在するのみだった。
彼は生前、大きな病気をひとつもせず、常に節度を守り、なにひとつ他人に恥じるところを持たず、
天寿を全うした。
そんな人間であったにもかかわらず、彼にはまるで人望がなかった。
彼の、ひとの痛みをなにひとつ感じることができず、認めないもしない態度が、ひとびとをして、
敬遠させる結果を招いたからだ。
彼は天国で、こうつぶやいた。
「また、ひとりぼっちになってしまったか」
節度の虜囚の話
よって、彼は念願でもあった天国に辿りついた。
しかし、そこには誰ひとり人間はおらず、彼ひとりが存在するのみだった。
彼は生前、大きな病気をひとつもせず、常に節度を守り、なにひとつ他人に恥じるところを持たず、
天寿を全うした。
そんな人間であったにもかかわらず、彼にはまるで人望がなかった。
彼の、ひとの痛みをなにひとつ感じることができず、認めないもしない態度が、ひとびとをして、
敬遠させる結果を招いたからだ。
彼は天国で、こうつぶやいた。
「また、ひとりぼっちになってしまったか」
節度の虜囚の話
by AMNESIac7
| 2008-12-18 18:32
| 断片小説